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プロテオミクスは、有機体蛋白質の包括的な研究であり、細胞の情報が満載のスナップショットを提供してくれます。過去何年かの間に、プロテオミクスは膨大な量の蛋白質レベルの情報を産出できる強力な技術であることが明らかになってきました。 プロテオミクス実験の成功如何が、サンプル調製ステップに決定的に依存することが近年認識されてきています。プロテオミクスに用いる理想的なサンプル調製プロトコールは、対象となる蛋白質を生体サンプルからできるだけ大量に分離するだけでなく、サンプルの完全性を至適に保存できるものでなければなりません。
一般的なプロテオミクスの手順には次の3ステップが含まれます。
蛋白質サンプルの複雑性を低減させるため、蛋白質分画と呼ばれる、任意の追加ステップをトリプシン消化の前に行うことも可能です。
プロテオミクスの手順は一般的に煩雑で時間を要することから、蛋白質分解酵素活性を減じることにつながります。また費用がかさむ阻害剤カクテルの使用を省略するため、ほとんどの操作を< 4℃で行わなければなりません。標準的なプロテオミクス手順の2つの重要な段階、すなわち蛋白質の分離と蛋白質分画に組み入れることができるbiocisionのベンチトップ用製品を紹介します。
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問題点
マイクロチューブをアイスバケツ中にばらばらに置いた状態では、サンプルの整理、安定性および温度の一定性を得ることは難しい |
解決策
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全プロテオミクスサンプルは何千もの蛋白質を含んでおり、一回の実験で完全に分析するには複雑すぎます。したがって、電荷、サイズ、疎水性またはリン酸や糖付加などの機能要素で分画することによって得られる、プロテオームのサブセットもよく用いられます。 対象となる蛋白質が分離された後、標準的なプロテオミクスの手順では、サンプルはトリプシン消化され、その結果得られるペプチド混合物がLC分離されます(LC-LC-MS-MSプロテオミクスワークフロー)。分画ステップでは、蛋白質サンプルの複雑さを緩和するための追加ステップとして、トリプシン消化とLC-MSステップ段階の前に蛋白質分画操作が行われます。
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問題点
市販されているサンプル数が12以下の分画キットのほとんどは、可溶・結合・洗浄・溶出ステップをマイクロチューブのフォーマットで行う。 温度を<4℃で一定に保つことは、サンプル固有の特性と質を確保するために必須である。ほとんどの分画キットでは、サンプルを氷バケツの中に直接入れるように示唆しているが、これは、サンプルの整理整頓、一様な温度の維持およびサンプル汚染の可能性などの観点からは問題を含むものである。 |
解決策
CoolBox XTは、キットを用いて蛋白質分画をする場合、終日を要する操作の間、サンプルを低温(< 4℃)に保つ氷を使用しない理想的な冷却ワークステーションである。CoolBox XTは、チューブを立てるウェルの位置にかかわらず、すべてのサンプルを最低10時間、再現性を確保しつつ、一貫して冷温に保つ。 |
CoolBox XTアイスフリー冷却システムは、氷を用いる冷却法の代替法であり、他に匹敵するものはありません。CoolBox XTは電気や電池を必要とせず、その代わりに内部冷却カートリッジであるXT冷却コアを通じて、10~16時間までサンプルを均一に、また再現性よく低温(0.5-4℃)に保ちます。 また、デザインがコンパクトで、長方形の通常の氷容器の半分のスペースしかとらず、貴重な実験ベンチ空間を確保します。
CoolBox XTは組み立てが簡単で使いやすく、XT冷却コアを-20℃フリーザーで予備冷却し、CoolBox XTベースにセットするだけで完了します。室温にある(予備冷却したものが望ましい)CoolRackチューブモジュールまたはCoolSinkプレートモジュールをXT冷却コアに乗せ、サンプルモジュールが<4℃に平衡化するのを待ちます。その後、チューブまたはプレートサンプルをセットすることで、長時間低温に保ちます。
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(左)CoolBox XTにセットした微量遠心チューブ。(中)蓋を開けた場合は10時間まで、(右)蓋を閉めた場合16時間以上サンプル温度は均一に1℃近くに保たれる。