コールドチェーン
NCMCが発した2025年へ向けての技術ロードマップにおいて、重要事項の1つとして凍結保存が取り上げられています。(出典:参考文献[1])
*Astero Bio社が旧medcision社の事業を承継しておりましたが、Astero Bio社がBioLife Solutions社に吸収合併されたことにより、現在はBioLife Solutions社が事業を引き継いでいます。
National Cell Manufacturing Consortium(NCMC)が発行した資料で、今後10年間の米国における細胞療法やその他の細胞基盤医療技術の確実な成長を可能とする戦略の詳細が述べられています。
まさに9年前、最初のiPhoneが発売されました。その半年後、電子書籍であるKindleが発売されました。これらの道具がない世界を想像するのは難しいでしょう。悲しいことに、これらの機器は、その登場からいまだ10年を迎えていません。この10年で特に技術に関しては本当に色々なことが起こりました。これはおそらくNCMCが21世紀の医学で最も革新的な技術の一つである細胞療法について、10年間の確実な発展を描こうとした際に念頭においたことです。
ここで確認したいのですが、NCMCのことを聞いたことは無いでしょうか?
これまで、その活動の大半が見えないところで行われていたため、聞いたことがなくても仕方がありません。NCMCは、National Institute of Standards and Technologyの助成を得て2014年に設立されました。コンソーシアムには、25社を越える企業、15の研究機関、いくつかの政府機関、そして民間財団の細胞製造の専門家達の協力を得ています。
NCMCは、Georgia Research AllianceとGeorgia Institute of Technologyの下で活動を行っています。NCMCは、その入念な活動により、今年のWhite House Organ Summit(米国における臓器移植の長期待機者に対する取り組みとして、大統領によって招集される会議)で注目されました。会議中NCMCは細胞療法に対し大規模で経済的、生産性のある細胞製造をいかに実行するかについて、Technology Roadmap to 2025を 発表しました。[1]これに付随したプレスリリースでは、このロードマップの重要点が示されています。[2]
細胞製造の業界は、凍結、融解の正確な制御をさらに向上する高度に自動化された凍結保存技術の開発に取り組むべきです(NCMC)。
簡単に言うと、ロードマップでは細胞に基づいた医療製品の製造パイプラインにおける重要なステップを細胞処理、細胞保存、製品の流通と取扱、品質管理、標準化、労働力の開発といった形で、簡単に分類しています。これらの各々のステップに対し、良質で確実な費用効果の高い細胞製造を大幅に増強する上で実施すべき特定のタスクが示されています。
例えば細胞凍結保存とその取扱いについてNCMCは
「細胞製造の業界は、凍結、融解の正確な制御をさらに向上する、高度に自動化された凍結保存技術の開発に取り組む」
ことを求めています。これには深く同意します。このブログでは、繰り返し細胞製造における自動化と標準化を支持しており、旧medCision社のThawSTAR自動融解装置について特に高い評価を行ってきました。
このコンソーシアムは、改善を行う正しい活動について説明を続けています。凍結保存については、さらに大きなサンプル量の取扱や、一時的な温度上昇による危険性を軽減することが可能な、より安定的なプロセスの開発を推奨しています。そしてまた、凍結保存、融解に対する細胞の応答を正確に理解するため、さらに研究を行うよう求めており、完全に自動化された保存プロセスや、優れた新しい凍結保護剤の開発を促しています。
このロードマップの根幹にある一つの目的は、競争が増す市場において、米国の優位性を保つことにあります。他国は細胞製造プロセスや技術に大きな投資を始めています。これは、Cell Therapy Catapult (イギリス)、Cell Therapy Manufacturing Cooperative Research Centre (オーストラリア)、Center for Regenerative Therapies Dresden (ドイツ)のような組織によって証明されます。
このコンソーシアムは、「・・・次世代細胞製造技術の開発・実行に対する組織的アプローチが、細胞療法という新しい分野における米国の優位性を維持する上で重要な意味を持つ」と認識しています。
競争はもう始まっています。
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