コールドチェーン
旧medcision社のBioT ULTトランスポーターは-50℃以下の状態を24時間以上維持します。 細胞製品の安全な短距離輸送にご利用いただけます。
(写真提供:旧medcision,LLC.
*Astero Bio社が旧medcision社の事業を承継しておりましたが、Astero Bio社がBioLife Solutions社に吸収合併されたことにより、現在はBioLife Solutions社が事業を引き継いでいます。
細胞加工施設(製造所)から患者への、細胞製品の輸送プロセスは、クリニックへ高品質な治療を確実に届けるものでなければなりません。
しかし、どうやって実行すれば良いのでしょうか?
最近の評論記事において、保管および輸送時に完璧な環境下で細胞療法製品を維持する方法が着目されています。[1]
細胞療法は、ともすれば不治である疾患を治癒させる劇的な可能性を有しています。基本となるコンセプトは簡単で、患者自身またはドナーから得た細胞を患者へ導入(通常は注射)し、病変組織と置換、または導入部位の既存細胞の免疫機能を調整するというものです。
軟骨組織修復のための軟骨細胞や前立腺がんに対する活性化抗原を有した末梢血単核細胞などの幾つかの細胞療法が、米国で既に使用が承認されています。現在、新しい遺伝子療法のアプローチとして1900の臨床試験が進行中です。
市場は、未だ発展途上にある非常に厳しい規制の枠組みの中で急成長しています。
近年の報告で、英国の科学者が信頼性があり規格に準拠した、製造所から患者への細胞療法製品の輸送の選択肢について議論を行っています。
そのプロセスの流れは、自家細胞(患者自身からの細胞)か、同種他家細胞(他のドナーからの細胞)か、治療の性質に左右されます。自家細胞の輸送プロセスは、通常、細胞加工施設が近く、または治療が行われる病院の中であるために比較的短時間ですみます。
それに比して、同種他家細胞療法は通常、細胞加工施設が大量生産でかつ集約的であるため、施設からかなり離れた場所にあります。これらの施設はGTP規制(Good Tissue Practice regulations)に加え、極めて厳格なGMPガイドライン(訳注:日本においてはGCTP省令)を遵守しなければなりません。
細胞療法製品輸送プロセスの基本の一つが凍結保存です。著者らは輸送に先だって行われる凍結保存は、低温保存によって治療を一時中断するだけでなく複数の点で優位だと強調しています。もし最初の移植が上手くいかなかった場合でも凍結保存により全く同じ細胞製品で何度も治療を行うことができます。また凍結保存によって治療スケジュールに大きな柔軟性を持たせることが可能であり、自家細胞療法の場合、一回で患者から十分な細胞が得られない場合には複数回の採取も可能となります。
著者はまた、次のような示唆に富んだコメントを述べています。
「細胞の特性や冷却レートを定め、確実にこれらを実行できる温度コントロールフリーザー(プログラムフリーザー)の開発に労力が注がれていますが、細胞のバイアルは何のコントロールもされずに融解が行われ、その融解が細胞の品質や治療結果に与える影響についてはしっかりとした調査が行われていません。」
冷却レートが融解後の細胞生存率のばらつきに関与することは良く知られています。融解プロセスを標準化しようという試みから、旧medCision社のThawSTARのような新しい自動融解デバイスが生まれました。
細胞製品の輸送は標準化できるのでしょうか?
細胞製品にはそれぞれ独自の性質があるため、一つのプラットフォームや輸送システムが業界全体に適合する可能性は低いです。とはいえ治療のタイプを分類することで輸送基準の選択が可能であり、製品を確実に高品質で輸送する基準の標準化は事実上可能です。
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