コールドチェーン

移植片の品質維持に必要な標準化融解法

移植片の品質維持に必要な標準化融解法
Standardized Thawing Methods called for to Preserve Graft Quality.

 

造血幹細胞から作られた様々なタイプの血液細胞の、電子顕微鏡画像。 (出典:National Cancer Institute)

*Astero Bio社が旧medcision社の事業を承継しておりましたが、Astero Bio社がBioLife Solutions社に吸収合併されたことにより、現在はBioLife Solutions社が事業を引き継いでいます。

ミネソタ大学が、凍結保存した臍帯血について、現在行われている取扱い・融解・注入方法に焦点を置いたレビューを発表しました。[1]

ヒトの臍帯血は、いままでは医療廃棄物として廃棄されていましたが、現在は造血幹細胞(hematopoietic stem cell - HSC)に富んだ資源であることが知られています。そのため、がんや遺伝病など、様々な血液疾患の治療によく用いられています。

通常、臍帯血は採取後に凍結保存が行われ、投与に備えて保管されます。世界では、提供された移植材料の保管を強化するため、多数のバイオバンクが設立されてきました。

移植の成功には、一定数の有核細胞が必要であり、細胞数、生存率を最大化する上では、臍帯血の取扱いに標準化が必須です。多くの研究が凍結保存プロトコルの標準化に重点を置いていますが、融解に関しては未だ不十分です。細胞凍結に関しては様々な凍結デバイスが開発されているものの、細胞融解についてはそれほど開発が行われていません。
従来の臍帯血移植における融解法としては、投与する現場で融解する方法、洗浄後に再構築・希釈を行う方法、洗浄をせずに再構築・希釈を行う方法があります。本レビューでは、各方法には利点と欠点があり、特定の融解法のみが移植結果に悪影響を与えるとするには議論が不十分であるとしています。とはいえ、バイオバンクにおける臍帯血取扱いの標準化は、移植片の品質維持や、生着が遅れるリスクの軽減、患者の安全性の確保に重要であると強く述べています。

参考文献:
[1] Akel, S., et al. Current thawing and infusion practice of cryopreserved cord blood: the impact on graft quality, recipient safety, and transplantation outcomes. Transfusion. Jun 2014.

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