特集記事

サンプル用ラベル選定のポイント

サンプルに合わせたラベル選定のポイント

チューブやマイクロプレートに貼付するラベルは各社から様々な種類が販売されています。
ご自身のサンプルに最適なラベルを選択するには、ラベルの印字方式、耐溶媒性、耐熱性、耐低温性、耐水性など、様々な点から判断する必要があります。

ラベルプリンタでのサンプル管理をおすすめする理由

手書きのデメリット

油性ペンやボールペンでラベルに記入して使用される場合、エタノールなどの有機溶媒や、超低温環境での保管によって、記入した文字が見えにくくなったり、消えてしまうリスクがあります。ラベルプリンタで印字したラベルは、基本的に溶媒耐性や超低温耐性があり、様々な使用環境でも情報を損なうことなく、使用することができます。

市販プリンタ使用のデメリット

市販のプリンタは安価で手に入ることや、入手し易いというメリットはありますが、その印字物の超低温耐性や薬品耐性が保証されているわけではありません。弊社が販売するラベルプリンタは、ラボや超低温環境での使用を想定し、超低温耐性や薬品耐性を有するラベルを印刷することが可能です。

ラベル印字方式の違い

ラベルの印字方式には、ダイレクトサーマル(感熱)プリンター、熱転写プリンター、レーザープリンター、インクベットプリンターがあります。各ラベルの特長は下記の通りです。

印刷方式 ダイレクトサーマルプリンター 熱転写プリンター
概要 感熱紙ラベルに対し、過熱されたプリンターヘッドにより直接印刷を行う方法です。
インクリボンなどの消耗品が不要で、構造もシンプルなため、メンテナンス性に優れています。
かつては長期保存性や擦過性が低いといわれた感熱紙ラベルも、長期保存性や擦過性に優れたラベルが登場し、超低温環境でのラベルとしても使用されるようになっています。
ラベルの耐熱性はありませんが(熱を加えると変色するため)、インクリボンがなく、ラベル自体をオートクレーブにかけるだけで情報を消去できるため、情報管理性に優れています。

加熱したプリンターヘッドによって、インクリボンに塗布されたインクを融解し、ラベルにインクを転写する印刷方式です。
全般的に、顔料インクのため、耐熱性、耐水性、耐溶媒性に優れます。(溶媒に対しては一部溶けるものもあります)
耐熱性、耐水性、耐薬品性に優れているため、ラボ用サンプルラベルとして広く使用されています。
熱や冷却に強く、長期保存に向いていますが、インクリボンに情報が残るため、重要な情報を扱う場合には情報管理に注意する必要があります。

印刷方式 レーザープリンター インクジェットプリンター
概要 トナー(粉末)を静電気によって付着させ、熱で溶着させる印刷方式です。
トナー吸着の際にレーザーを使用することからレーザープリンターと呼ばれています。
印刷物は耐水性、耐熱性に優れ、長期保存にも向いています。
実験室やオフィスではレーザープリンター(複合機)を使用している場合が多く、新たにプリンターを購入しなくても良いというメリットがあります。
インクリボンがなく、ラベル以外に情報は残りません。耐溶媒性、耐薬品性については、事前に製造会社へ確認されることをおすすめします。
インクノズルから微細なインク滴を紙に向けて噴射して印刷する印刷方式です。
主に使用されるインクには顔料系と染料系があります。
顔料系インクは耐水性、耐熱性に優れていますが、染料系インクは耐水性が低く、水に濡れるとインク落ちや滲み、擦れの可能性がありますので、サンプルラベルに使用する場合はなるべく顔料系インクを使用することが推奨されます。
インクリボンがなく、ラベル以外に情報は残りません。
耐溶媒性、耐薬品性については事前に製造会社へ確認することをおすすめします。

 

各ラベルの特長

項目 ダイレクトサーマル
プリンター
熱転写プリンター レーザープリンター インクジェット
プリンター
コスト効率 ×
メンテナンス性 ×
耐水性
(染料インク×)
耐溶媒性 ×
耐熱性 ×
耐低温性
耐擦過性
情報管理 ×
長期保存耐性
耐薬品性
印刷鮮明度

*弊社の見解です。ラベル材質により異なる場合があります。

 

弊社が提供するラベル

1.GA international DYMO Compatible Label Cryo-Dtermo

カナダのGA インターナショナル社が製造する感熱紙ラベルです。
DYMO社のダイレクトサーマルプリンター、Label Writer 450/450 Turbo対応のラベルで、-196℃~70℃の温度帯で使用でき、液体窒素液相保存にも対応可能です。マイクロチューブや15mL、50mLチューブの他、マイクロプレートやフリーズボックスに対応したラベルをご用意しています。
プリンター自体が非常に小型で、定期メンテナンスが不要です。インクリボンを使用しないため、(個人情報やサンプル情報など)情報がラベル以外に残りません。ラベル情報もオートクレーブにかけるだけで消去が可能なため、重要な情報を扱う施設にお薦めです。
注:変色した黒色成分は、一部の有機溶剤によって溶解されます。有機溶媒への浸漬は短時間にとどめてください。

2.BRADY 超低温用特殊ラベル フリーザーボンドなど

米国BRADY社が製造するラベルで、専用の熱転写プリンターで印刷して使用します。-196℃~160℃の広い温度帯に対応したラベルや、凍結面への貼付が可能なもの(凍結面は乾燥している必要があります)、DMSOやエタノールなどに対する溶媒耐性・擦過性に優れたものなど、多様なラインナップの中から用途に合ったラベルを選択することができます。マイクロチューブや15mL、50mLチューブはもちろん、ストロー、スライドグラス、マイクロプレートなど、様々な容器に対応したラベルをご用意しています。

GA International社ラベルとBRADY社ラベルの比較

メーカー GA International BRADY
印刷方式 ダイレクトサーマルプリンター 熱転写プリンター
プリンター
サイズ
非常に小型 小型~中型
対応温度 -196 ~ 70℃ -196 ~ 160℃
耐擦過性
耐溶媒性 ×
情報管理 ×
価格
(ランニングコスト)

*上記データはラベルの種類により異なります