製品のよくあるご質問

  • ibidi Pump Systemを使用する目的は何ですか?
    細胞に、液体の流れによって発生する「シェアストレス」を与え、生体内に近い環境でフロー培養するためです。 例えば、血管内皮細胞は「シェアストレス」を与えることで、細胞形態や細胞内の遺伝子発現が変化し、より生体内に近い状態で培養できることが分かっています。
  • ibidi Pump Systemと他のポンプとの違いを教えてください。
    送液を行う装置としては、より安価なシリンジポンプやペリスタポンプがあり、アプリケーションによっては、これらのほうが良い場合があります。 一方、ibidi Pump Systemは、フロー培養用に開発された唯一の専用装置であり、以下の特長があります。
    • ダイレクトに「シェアストレス値」を設定し、再現性高くフロー培養が行えます。
    • ペリスタポンプのような拍動が発生しません。(拍動を作ることも可能)
    • 循環する培地により、一定方向に長時間(数日間)フロー培養が可能です。
  • なぜダイレクトに「シェアストレス値」を設定できることが特長なのですか?
    通常、シリンジポンプやペリスタポンプは流速(mL/秒など)を設定して使用します。しかし、流速から「実際に細胞にどのくらいのシェアストレス値が掛かっているのか」を計算するには、培養容器の形状などから複雑な計算を行う必要があり、容易ではありません。 本システムでは、専用ソフトに「ibidi社のμ-Slideを用いた場合のパラメーター」が登録されているため、ここから必要な流速などが自動計算され、目的の「シェアストレス値」でのフロー培養を実行できます。
  • ibidi Pump Systemでは、培地交換せずに何日間の培養が可能ですか?
    細胞の種類や目的に依存しますが、例えばμ-Slide I Luerでは2.5 cm²の培養面積に対し、約10mL強の培地を用いますので、数日間培養し続けることは可能です。 HUVECでは7日間培地交換せずに培養できた実績があります。
  • ibidi Pump Systemで設定可能なフロータイプを教えてください。
    本システムでは、以下の3種類が設定可能です。 一方向の層流(unidirectional laminar flow) 振動層流(oscillatory laminar flow):培地が双方向に行ったり来たりします 拍動層流(pulsatile laminar flow):血管のような脈動した流れになります なお、振動層流と拍動層流は、Fluidic Unit2台を1セットで使用する必要があります。 また、乱流(turbulent flow)は行えませんので、代替として振動層流をご検討ください。
  • ibidi Pump Systemで薬剤添加「あり」と「なし」の2条件でフロー培養可能ですか?
    はい。本システムは、1台のシステムで4台までのFluidic Unitを接続してコントロールできます。(ただし、4台とも同一のシェアストレス条件のみ) なお、振動や拍動で実験する場合は、Fluidic Unit2台を1セットで使用するため、2セット(4台)までとなります。
  • ibidi Pump Systemの使用方法や操作方法を教えてください。

    下記のムービーが分かり易いので、是非ご覧ください。

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  • ibidi Pump Systemの論文情報はありますか?
    ibidi社ホームページに独自の論文検索サイトがあり、そこで検索可能です。 2020年7月時点で171件の論文がヒットしました。 細胞名などでさらに絞り込み検索も可能です。 https://ibidi.com/module/ibidireference/reference
  • 血管内のシェアストレス値は通常どのくらいですか?
    静脈や動脈など血管の部位によって様々に異なります。 ibidi社のホームページに文献でのシェアストレス値の目安の情報がございますので、ご参考ください。 https://ibidi.com/content/303-why-cell-culture-under-flow
  • 血管内皮細胞以外の細胞にも使用できますか?
    はい。何種類かの細胞で試された事例があります。 生体において液体が存在する部位ではシェアストレスが生じていると言われております。 例:リンパ管、関節包、脳室、眼球内(網膜)、食道などの消化管、子宮内、腎臓、膀胱 など
  • 自作でフロー培養を試みたのですが、培養中に気泡が発生し、上手くいきませんでした。このシステムは大丈夫ですか?
    フロー培養では、流路内に気泡が入らないように注意していても、培養中にプラスチックやシリコンチューブから気泡が発生することがあります。これを防ぐため、培地、チャンネルスライド、チューブ類は、オーバーナイトでCO₂チャンバーに入れておき、平衡化してからご使用ください。
  • 細胞を培養するμ-Slide I Luerには、チャンネルの高さによって種類がありますが、どのように使い分けるのですか?
    同じ流量を与えた場合、チャンネルが狭いほど高いシェアストレスが生じます。 このため、動脈などのシェアストレスが強い血管のシミュレーションにはチャンネルの高さが低いスライド、静脈などのシェアストレスが弱い血管のシミュレーションにはチャンネルの高さが高いスライドを選択します。
  • ibidi Pump Systemで使用するμ-Slideには何か特長がありますか?
    はい。底面に約180μmのibidi社独自素材のプラスチックシート(フィルム)が使用されており、底面に接着した細胞を高解像度の顕微鏡で観察することができます。また、このプラスチックシートは「ある程度の有機溶媒耐性」を持ち、「低い自家蛍光」のため、細胞を移し替えることなく、そのまま免疫蛍光染色を行い、観察することができます。