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細胞培養のコンタミネーションは、どのラボにとっても懸念事項です。Thermo Scientific セルロッカーシステムは、0.2μmメンブレンフィルターが取り付けられた6つの密閉チャンバーで構成されています。これらのチャンバーは微生物の侵入を防ぎ、CO2インキュベーター内の温度、ガス、湿度の循環を可能にします。このセルロッカーシステムは、敏感な細胞、新しい培養物、または個々のプロジェクトを、1つのインキュベーター内で別々のチャンバーを使用し隔離することができます。
Thermo Scientific Forma Steri Cycle i160 CO2インキュベーターでは、HEPAシステムがインキュベーター全体の空気をろ過し、ISOクラス5クリーンルームと同等の空気環境にまで到達できます。
セルロッカーシステムでは、インキュベーターを6つの個別のチャンバーに分割することにより、クロスコンタミネーションからの保護を更に強固にします。1つ1つのセルロッカー自体が、効果的に隔離されたチャンバーになるのです。
各セルロッカーに取り付けられている2枚の0.2μmメンブレンフィルターは、疎水性、疎油性があり、空気をろ過するときに小さな微生物でさえ侵入を防ぎます。その事実を確認するために、微生物を使いセルロッカーシステムを個別に試験し、微生物がメンブレンフィルターを通過してセルロッカー内に到達できないことを証明しました。
1つ1つのセルロッカーは、どんなCO2インキュベーター内にも置くこともできますし、完成されたセルロッカーシステムを使用する場合はさらに、環境の安定性と柔軟性という利点を提供します。
微多孔性メンブレンフィルターは、液体をろ過する場合に比べて空気をろ過する場合の方が約10倍の保持力になります¹。そしてCell Lockerに設置されたメンブレンフィルターは、有効な孔径0.02μmを備えており、すべての微生物の透過を防ぎます。それを証明するために、独立したテストを実施しました。そこで、6つのチャンバーのセルロッカーシステムを備えたThermo Scientific Forma i160 CO2インキュベーターを使い、テスト用に選んだ微生物を庫内の空気に分散させました。Forma i160インキュベーターは、ISOクラス5クリーンルームの環境を提供するHEPAろ過システムを備えていますが、このテストではHEPAフィルターは使用されなかったため、微生物は自由に行き来できます。
CO2インキュベーターとセルロッカーシステム全体に微生物を分散させるために、加圧空気で駆動するネブライザーを使用し黄色ブドウ球菌またはマイコプラズマ・オラーレのいずれかを散布しました。黄色ブドウ球菌は0.5μm程度、マイコプラズマ・オラーレは0.1μm程度と、一般的な細胞培養汚染物質のサイズであるため、テストの目的を果たすのにちょうど良い対象であると言えます。
適切な培地を入れた滅菌シャーレをインキュベーター内側のセルロッカーの内外に配置し、合計でチャンバーの内側に24皿・外側に48皿を配置しました。そしてテストを開始する直前にシャーレを開け、ネブライザーを1時間稼働させ細菌を循環させました。ネブライザーを止めた後はシャーレに蓋をし、37℃で1〜14日間培養しました。その結果、表1に示すようにセルロッカーの外側の培地は細菌でいっぱいになりましたが、セルロッカーの内側のシャーレは無菌のままで、いかなる細菌の増殖も見られませんでした。
Thermo Scientific セルロッカーとThermo Scientific セルロッカーシステムは、培養とプロジェクトを効果的に分離し、CO2インキュベーター内での微生物のクロスコンタミネーションを防ぎます。
¹Boomus M .微多孔メンブレンフィルターによる空気中の細菌およびウイルスの保持、業界誌「Medical Device& Diagnostic」、2006年
テストで使用した微生物 | 総循環 | セルロッカーの外部 細菌数 合計 |
セルロッカーの内部 細菌数 合計 |
---|---|---|---|
黄色ブドウ球菌 | 9.6 × 104 | TNTC* | 0** |
マイコプラズマ・オラーレ | 9.3 × 104 | TNTC* | 0** |
表1: テスト結果は、循環している微生物がセルロッカーに侵入できないことを示しています。
このテストは、HEPAフィルターを使わない状態のForma i160 CO2インキュベーター内の完全なセルロッカーシステム(6つのセルロッカー)で3回実施しました。
提供:Thermo Fisher Scientific (原文はこちら)
文責:ワケンビーテック株式会社